Jakarta EEとは?Java EEからの移行の歴史をやさしく解説
生徒
「Java EEって聞いたことあるんですけど、最近はJakarta EEって名前で呼ばれてますよね?違いって何ですか?」
先生
「とても良い視点ですね。Java EEは元々Oracleが管理していたJavaの企業向けアプリケーション開発の仕様ですが、今はJakarta EEに名前が変わって進化を続けているんです。」
生徒
「名前が変わっただけなんですか?それとも中身も変わってるんですか?」
先生
「では、Jakarta EEの成り立ちとJava EEからの移行の流れを、わかりやすく解説していきましょう!」
1. Jakarta EEとは?Javaのエンタープライズ向け仕様の進化版
Jakarta EE(ジャカルタ イーイー)は、Javaを使って企業システムやWebサービスを構築するための“標準的な開発仕様”をまとめたプラットフォームです。もともとはJava EEとして長く利用されてきましたが、運営主体の変更によりJakarta EEという名前で新たに進化を続けています。
提供される技術は多岐にわたり、Webアプリケーション、REST API、マイクロサービス、バッチ処理など、現代のアプリケーション開発に欠かせない要素を幅広くカバーしています。Java開発者に馴染みのあるServlet、JSP、JPA、CDI、JSF、JAX-RSといった技術も、そのままJakarta EEに引き継がれています。
これらの仕様は、複雑に見えますが「役割が明確に分かれている」ことが特徴で、初心者でも段階的に学びやすい構造になっています。まずは、Jakarta EEがどのようにアプリを動かすのかをイメージしやすい簡単な例を見てみましょう。
Jakarta EEの動作イメージがつかめるシンプルなJavaコード例
// とても簡単な REST API の例(JAX-RS)
// ブラウザで「/hello」にアクセスすると文字が返る仕組み
import jakarta.ws.rs.GET;
import jakarta.ws.rs.Path;
@Path("/hello")
public class HelloResource {
@GET
public String hello() {
return "Jakarta EE で作ったシンプルな API の応答です!";
}
}
このコードは、Jakarta EEの代表的な技術である「JAX-RS」を使った最低限のREST APIの例です。URLにアクセスするとJavaの処理が動き、結果がそのままブラウザに返ってきます。これが“Jakarta EEが提供する標準仕様の力”であり、複雑な設定をしなくても企業向けアプリケーションの基礎が整う理由です。
2. Java EEからJakarta EEへ:移行の歴史を知ろう
Java EEの始まりは、1999年にSun Microsystemsが提供した「J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)」にまでさかのぼります。その後、Java EEとして標準化が進み、企業向けシステム開発の中心的なプラットフォームになりました。
ところが、2010年にOracleがSun Microsystemsを買収して以降、Java EEの開発ペースは次第に停滞。コミュニティからの改善要望も反映されにくい状況となりました。
このような背景の中、2017年にOracleはJava EEをEclipse Foundationに寄贈。このときに名前も「Jakarta EE」として生まれ変わりました。
3. なぜ名前がJakarta EEになったのか?
「Jakarta EE」という名前は、インドネシアの首都ジャカルタに由来しています。実は、元の「Java」という名前をEclipse Foundationが使えなかったため、新しいブランド名として「Jakarta」が選ばれたのです。
Java EEはOracleの商標に関わる制限があったため、新しい名前で再出発する必要がありました。こうしてJakarta EEが誕生し、よりオープンでコミュニティ主導の開発体制へと移行したのです。
4. Jakarta EEの特徴とメリット
Jakarta EEには、以下のような特徴があります:
- オープンソースで開発されている
- Eclipse Foundationによる中立的な運営
- クラウドネイティブ対応が強化されている
- Spring Frameworkなどとの高い互換性
また、Jakarta EE 9では、パッケージ名の変更(例:javax → jakarta)が行われ、次世代のJavaアプリケーション開発に向けた基盤が整えられました。
5. Java EEとの互換性はどうなっているの?
Jakarta EEは、Java EEとの互換性を可能な限り維持しています。特にJakarta EE 8はJava EE 8と仕様レベルでは同じであり、移行もスムーズに行えます。
ただし、Jakarta EE 9以降ではパッケージ名が変更されたため、既存のJava EEアプリケーションをJakarta EEへ移行する際には、コードの変更が必要となる場合があります。
以下は、典型的な変更の一例です:
import jakarta.servlet.http.HttpServlet;
以前はjavax.servlet.http.HttpServletでしたが、Jakarta EE 9以降はjakarta.servletに変更されています。
6. Jakarta EEを支える主要プロジェクト
Jakarta EEはEclipse Foundation傘下のプロジェクトとして、多くの企業と開発者によって支えられています。代表的なメンバーには以下のような企業があります:
- Red Hat(WildFly)
- Payara(Payara Server)
- IBM(Open Liberty)
- TomiTribe(TomEE)
これらの企業は、Jakarta EEの仕様策定やテクノロジーの実装、ツールの提供などを通じて、Javaのエンタープライズ領域を支えています。
7. Jakarta EEはどんな場面で使われている?
Jakarta EEは、企業向けの業務システムや、官公庁・金融機関の大規模アプリケーションなどで広く採用されています。また、クラウド対応やマイクロサービスアーキテクチャとの親和性も高く、今後も継続的な活躍が期待されます。
最近では、KubernetesやDockerと連携させたJakarta EEの活用事例も増えており、クラウドネイティブなJava開発の選択肢として注目されています。
まとめ
ここまでの内容をじっくり振り返ると、Jakarta EEがどのように誕生し、Java EEからどのような歴史を経て現在のエンタープライズ向けJavaプラットフォームとして進化してきたのかが、より立体的に理解できたはずです。特に、名前の変更だけではなく、開発体制そのものが大きく変わり、仕様の策定やアップデートのスピードが改善された点は、多くの開発者にとって大きな意味を持っています。
Java EEが長年企業システムの中心として利用されてきた理由は、堅牢性と信頼性にありますが、Oracleによる管理が続いた期間には改善要求が反映されにくい状況が続き、コミュニティとの距離が生まれていました。そこからEclipse Foundationによる運営へと切り替わったことで、よりオープンで参加しやすい環境が整い、エンタープライズJava全体が活性化していった流れは、開発者にとって非常に重要な転換点と言えるでしょう。
また、Jakarta EEが提供する仕様の中には、Servlet、JAX-RS、JPA、CDIをはじめとした企業システムに欠かせない技術が多く含まれています。これらはJava EE時代から続く成熟した仕様であり、Jakarta EEに引き継がれた今でも根強い需要があります。とくに、マイクロサービスやクラウドネイティブの思想に合わせて改善された部分は、現代のシステム開発において重要な価値を持っています。
名前や仕様が変わった中でも、Java EEの資産を活かしながら新しい環境へ移行できるという滑らかな互換性は、多くの企業がJakarta EEを採用する大きな理由のひとつです。もちろんJakarta EE 9以降のパッケージ名変更のように、移行時に手を加える必要がある場合もありますが、それは長期的に見て成長し続けるプラットフォームを維持するためには欠かせないステップとも言えます。
実際のコードを通して確認すると、Java EEからJakarta EEへの変更点はより鮮明に見えてきます。以下はServletの書き方をJakarta EE向けに書き換えた例です。変更点を理解しておくことで、既存システムの移行や新規開発がスムーズに進められます。
package com.example;
import jakarta.servlet.http.HttpServlet;
import jakarta.servlet.http.HttpServletRequest;
import jakarta.servlet.http.HttpServletResponse;
import java.io.IOException;
public class HelloServlet extends HttpServlet {
@Override
protected void doGet(HttpServletRequest req, HttpServletResponse resp)
throws IOException {
resp.setContentType("text/plain; charset=UTF-8");
resp.getWriter().println("こんにちは Jakarta EE");
}
}
このように、javaxからjakartaへの変更は広範囲に及びますが、基本的な仕様や使用感は大きく変わらないため、既存の知識を活かしながら移行できます。さらに、Jakarta EEは企業向けだけでなく、学習目的や小規模アプリケーションにも活用できる柔軟性を持ち、クラウド技術との親和性の高まりによって今後の需要も拡大していくことが予測されます。
また、Jakarta EEはEclipse Foundationが透明性の高い運営方針のもとで公開されているため、仕様策定のプロセスをだれでも確認することができ、企業や個人が積極的に参画できる仕組みが整っています。こうしたコミュニティベースの発展は、Java全体の未来にとっても非常に価値の高いものです。
さらに、クラウド技術との統合が進む現代では、Jakarta EEをKubernetes、Dockerなどと組み合わせた活用も広がっており、これまでのようなモノリシックなシステムだけでなく、分散システムや軽量な構成にも柔軟に対応できるのが特徴です。企業や行政システムの基盤として利用される理由は、こうした拡張性と信頼性にあります。
初心者にとっても、Jakarta EEの背景や歴史を知っておくことで、技術選択の幅が広がり、実際の開発で使用する場合にも安心して学習を進められます。特にJavaをこれから深く学んでいく人にとって、Jakarta EEは避けては通れない重要な技術であり、将来的なスキルとしても価値が高い分野です。
生徒
「Jakarta EEがどうして誕生したのか、Java EEとの違いがどこにあるのか、すごく理解しやすかったです。パッケージ名の変更がキーなんですね。」
先生
「そうですね。表面的には名前の変更のように見えますが、実際には開発体制がガラッと変わって、より開かれた技術になりました。」
生徒
「企業やコミュニティが支えているという話も印象に残りました。オープンに進化できる仕組みって大事なんですね。」
先生
「その通りです。だからこそJakarta EEはこれからも成長し続けるでしょうし、学ぶ価値のある技術なんですよ。」
生徒
「Servletのコード例もわかりやすかったです。自分でもJakarta EEで小さなサービスを作ってみたくなりました!」
先生
「ぜひ挑戦してみてください。実際に書いてみるとJakarta EEのメリットをもっと実感できますよ。」